《とある城の広間》
城の広間をうろうろと歩くパパス王がいる。
小太りの男が現れ、パパス王に向けて叫ぶ。
男 : パパス様、パパス様! お産まれになりました!
パパス : そっ、そうか! 9ヶ月前、寝る間も惜しんでマーサを抱いたかいがあったわ! どの体位でフィニッシュした時にできたのだろうか…。パフパフリンコか、キョインキョインか、はたまたイングリンモングリン・スペシャルか?!
パパス王は妃であるマーサのいる部屋に走って向かう。

《王妃マーサの部屋》
赤ん坊 : おぎゃーおぎゃー。
侍女 : パパス様、おめでとうございます! 本当に可愛い珠のような男の子で!
パパス : うむっ。流石はワシの息子。生まれてすぐにして、モノが立派じゃ!
マーサ : あなた…。
パパス : よくやったな! おうおう、このように元気に泣いて…。
赤ん坊 : おぎゃーおぎゃー。
パパス : 早速だが その子に名前をつけないといけないな。
パパスは考えながらうろうろと歩く。
パパス : うーん……………。

パパス : よし、浮かんだぞ! トンヌラというのはどうだろうかっ!?
赤ん坊 : いぎゃーいぎゃー!
マーサ : まあ、素敵な名前! 勇ましくて賢そうで…。
赤ん坊 : ぜんぜんじゃー!
パパス : ん? 今、我が息子が喋らなかったか?
マーサ : ほほほ、そんなはずはありませんわ。でもね、私も考えていたのです。ラスネルというのはどうかしら?
パパス : ラスネルか……。どうもパッとしない名だな。しかし、お前が気に入っているならその名前にしよう!
パパスはラスネルを抱えた。
パパス : ラスネル! 今日からお前はラスネルだ!
マーサ : まあ、あなたったら……。うっ……。ごほんごほん……。
パパス : おい! 大丈夫か!?


《船室》
6歳くらいの少年がベッドから起きる。
パパス : おう、ラスネル。目が覚めたようだな。
ラスネル : 僕、夢を見たよ。
パパス : なに? 夢を見た? 赤ん坊の時の夢で、どこかのお城みたいだったと?
ラスネル : トンヌラという名前を付けられそうになったんだ。
パパス : このわしがそんなセンスのない名前を、お前に付けるはずもあるまい。
ラスネル : (僕はパパがとは言ってないのに…。)
パパス : わはは、寝ぼけているな。眠気覚ましに、外にでも行って風に当たってきたらどうだ。
ラスネル : うん。
ラスネルは小さな足で船上を歩く。
船長 : 私がこの船の船長だ。坊やのお父さんには昔よく世話になったものだ。特に女の人に関してね。坊や、お父さんの言う事をよく聞いて立派な人になるんだよ。
ラスネル : うん、お父さんの言う事をよく聞いてるから、立派な@@@@になってきてるよ。
船員A : 港に着いたぞー!
船員B : イカリを下ろせー! 帆を畳めー!
船長 : どうやら着いたようだな。坊や、下に行ってお父さんを呼んできてあげなさい。
ラスネル : うん。

《船室》
ラスネル : パパ、どこかに着いたよ。
パパス : そうか、港に着いたか! 村に戻るのはほぼ2年振りだ…。ラスネルはまだ小さかったから村の事を覚えていまい。
ラスネル : うーん、ムラだからムラムラする所かな?
パパス : では行くかっ! 忘れ物をするなよっ。
ラスネルは小さな手で身支度をした。
パパス : 忘れ物はないな? タンスの中も調べたか?
ラスネル : うん。タンスの中には盗んでコレクションするような女の子の下着はなかったよ。
パパス : そりゃ父さんが全部…いや、何でもない。

ラスネルはパパスに連れられ船を降りる。
パパス : じゃあ船長! 随分世話になった……。身体に気をつけてな!
船長 : パパスさんも元気で、また女の紹介お願いしますよ。

《ビスタ港》
男 : パパスさん! パパスさんじゃないかっ!? 無事に帰ってきたんだね!
パパス : わっはっはっ。痩せても枯れてもこのパパス、おいそれとは死ぬものか!
長話になりそうだった。
パパス : ラスネル。父さんはこの人とエッチな話があるので、その辺で遊んでいなさい。
ラスネル : うん。
パパス : あまり遠くに行かないようにな。

ラスネルは港を出てしまう。
スライムが3匹現れた!
なんとか2匹は倒したものの…。
ラスネル : うぐっ、パパ…。
パパスが現れた、アッと言う間にスライムを倒した。
パパス : まだまだ表の独り歩きはもちろん、野外での独りエッチも危険だ。
ラスネル : モンスターに大事な所を噛まれたら、僕の一生はおしまいだね。でもスライムだったら気持ちいいかも…。
パパス : 弱らせたスライムベスでマスった時はなかなかだったな…。
ラスネル : やった事あるんだ、パパ…。
パパス : …これからは気をつけるんだぞ。
ラスネル : うん。
パパス : ホイミ! では行くとしよう!

《サンタローズの村》
入り口の番兵が語りかける。
番兵 : やや! パパスさんでは!?
パパス : いかにもパパスだ。
番兵 : 2年も村を出たまま、一体どこに……!?
パパス : まあ、いいじゃないか。
番兵 : ともかく、お帰りなさい! おっと、こうしちゃいられない。みんなに知らせなくっちゃ!
兵士は走っていく。
番兵 : おーい! パパスさんが帰ってきたぞーっ! 15歳から20歳までの若い娘は隠れろ〜。

《宿屋》
宿屋の主人 : パパスさん! あんた生きてたんだね! おや、その子があの時の? 大きくなったな坊や。
ラスネル : うん、大事な所は見せられないけど、おっきくなってるよ。
宿屋の主人 : パパスさん、夜にでもウチの酒場に寄ってくれよ。みんなあんたの旅の話を聞きたがるはずだ!
パパス : 分かった。うまい酒を用意しておいてくれよ!

《武器屋》
武器屋の主人 : よう! パパス! やっと帰ってきたな! あんたとは喧嘩ばかりしてたけどよう、いなくなると寂しくて……。落ち着いたら、また積もる話を聞かせてくれよな。どんな女をどんな体位で抱いたかが、一番聞きたい。
パパス : いやー、最近はなかなかチャンスがなくてな。
ラスネル : (下着のコレクションにはまってる事は内緒にしておかなくちゃ…。)

男 : やあ、本当にパパスさんだ! どうもお帰りなさい! パパスさんがいない間、みんなパパスさんの噂ばかりしてたんですよ。
パパス : どんな噂だ? まあ、後で聞かせてもらうがな。

教会に顔を出すとシスターが迎えてくれた。
シスター : これはパパス殿。よくぞ無事に戻られました。きっと神様があなたがた親子をお守りしてくれたのでしょう。と、堅苦しい事はやめにしましょう……。
シスターは飛び跳ねる。
シスター : わーい、パパスさんが帰ってきた! 嬉しいー。わーい! わーい!
パパス : なんだか嬉しそうだな。
シスター : 私の姉が16歳の時に処女を奪ったのは覚えてますか? 今日がその記念日なんです。後で姉が行くと思うので、その時の事を考えると、あまりにわくわくして。わーい。

《パパスの家》
パパス : おう、サンチョ、今帰ったぞ。
家の中には小太りの召使いの男サンチョが客といる。
サンチョ : だっ、旦那様! お帰りなさいませ! このサンチョ、旦那様のお戻りをどれ程待ち侘びた事か……。さあ、ともかく中へ!
客は赤毛にカチューシャの少女・ベリンカとその母親だった。
ベリンカ : おじ様、お帰りなさい。
パパス : ??? この女の子は?
女将 : あたしの娘だよ、パパス!
パパス : やあ! 隣町に住むダンカンの女将{おかみ}さんじゃないか! 相変わらず垂れ乳なんで、一目で判ったよ。
女将 : 相変わらず口が悪いねー、そんなんじゃ息子に移っちまうよ。
ラスネル : その乳だとパフパフの興奮度はゼロだね。
パパス : もう手遅れのようだ、わっはっは。
ラスネル : はっはっは。
サンチョ : この村にご主人の薬を取りに来たって言うんで、寄ってもらったんですよ。
ベリンカはラスネルに話し掛ける。
ベリンカ : ねえ、大人の話って長くなるから、上に行かない?
ラスネル : うん、話だけならともかく、パパが女の人の前で服を脱ぎ出すと、まだまだ僕は眠くなっちゃうんだ。
ベリンカ : それじゃ、行きましょ。

《二階》
ベリンカ : 私はベリンカ。私の事覚えてる?
ラスネル : うん。
ベリンカ : ホントかしら……。
ラスネル : うん、匂いを覚えてるよ。(ミルク臭いんだ。)
ベリンカ : そっか、そういう事もあるかな? 私は8才だから、あなたより2つもお姉さんなのよ。
ラスネル : 8引く2だから…僕の歳はマイナス6だ!
ベリンカ : すっごぉい、マイナスの計算もできるんだ。でも計算間違いみたい。私って素質あるから、計算は得意なの。
ラスネル : ふーん、ベリンカは素質あるんだ。
ベリンカ : ねっ! ご本を読んであげようか? ちょっと待っててね。
ベリンカは本棚にある本を背伸びして取る。
ベリンカ : こらっ、しゃがんでどこ見てるの?!
ラスネル : ベリンカのパンチュ。
ベリンカは両手で本を持ち、ラスネルの頭を上から殴った。
ゴシャッ!
ラスネル : ゲフッ!
ベリンカ : …じゃ、読んであげるね!
ベリンカは本を読み始める。
ベリンカ : えーと……。そ…ら…に…。えーと……。く…せし……ありきしか……。これはダメだわ。だって難しい字が多過ぎるんだもの!
ラスネル : くーくー…。
ベリンカ : んもぅ、読んであげてるのに寝るなんて…でも可愛いかなっ?
ラスネル : 寝てるんじゃなくて、殴られて気絶してたんだけど。
ベリンカ :わっ、起きた。
ラスネル : (まあ、どっちにしても退屈な読みじゃ寝てたと思うけどね。)
下から声が聞こえる。
女将 : ベリンカ、そろそろ宿に戻りますよ!
ベリンカ : はーい、ママ!
ベリンカ達は次の日も滞在できるよう、この村の宿屋に戻った。

一階に降りるとパパスが身支度をしていた。
パパス : さてと……。お父さんはちょっと用があるので、いい子にしてなさい。
パパスは不思議な剣を持ち、村の外れにある洞窟へ向かった。

ラスネル : 僕も行ってみようかな…。

《村の洞窟》
岩の下敷きになった男がいた。
男 : ぐうぐう……。は! いかんいかん! 動けないのでいつの間にか眠ってしまったらしい!
ラスネル : オジちゃん、どうしたの? 布団の代わりにダンボールの人は見てきたけど、岩を布団代わりにする人は始めて見たよ。暖かいのかなー?
男 : そうじゃないよ。歩いていたら突然、上から大きな岩が落ちてきて……。坊や、悪いがこの岩をちょっと押してくれるか! もう少しで動かせそうなんだ。
ラスネル : うーん、僕は子供だけど力はあるんだ。年上の女の子でも押し倒せるよ。
岩が動いた。
男 : やれやれ、助かった! 坊や、ありがとう! これでダンカンの女将さんに薬を渡せるってもんだ! おっと、こうしちゃいられない! 戻ってこの薬を調合しなくっちゃな!
ラスネル : オジちゃん、顔の割りに薬の調合ができるんだね。
男 : 何か言ったか?
ラスネル : 全然。

《パパスの家》
サンチョ : ラスネル坊っちゃん、今日はお疲れでしょう。お休みになりますか?
ラスネル : うん。

翌朝
パパス : 起きてきたかラスネル!
ラスネル : うん。まだパパみたいには、朝に大事な所は起きないみたいけど。
パパス : わっはっは、お前なら後5年もすれば女の子を満足させられようになるはずだ。ところで、薬が手に入ったので女将さんとベリンカは今日帰ってしまうらしい。
ラスネル : えー、ベリンカ、帰っちゃうんだ…。(もっと色んな所を見たり触りたいよ。)
パパス : しかし、女二人ではなにかと危ない。
ラスネル : うん、ベリンカが8歳で処女を失ったら、沙希の抱き枕だね。
パパス : ん、どういう意味だ?
ラスネル : お先真っ暗って事さ。
パパス : 二人をアルカパまで送っていこうと思うのだが、お前もついて来るか?
ラスネル : うん、僕、ベリンカを守るっ。アルカパだから、アルサロ姉ちゃんが、カパッと脚とかを開いてくれるお店のある町なのかな?
パパス : アルサロ姉ちゃんとはなんだ? わしも聞いた事はあるが。
ラスネル : アルバイト・サロンで働くアルバイトお姉さんの事だよ。
パパス : わっはっは、ラスネルは物知りだな。
ラスネル : パパが本棚の奥に隠し持っていたエッチな本を、ベリンカが見つけたんだ。ベリンカは読めなかったから、近所のお姉さんに読んでもらったんだ。お姉さん顔を真っ赤にしてたよ。
パパス : とにかく、行き先はアルカパだ。よし、そうと決まったら、早速出かける事にしよう!
サンチョ : 旦那様、どうかお気をつけて行ってらっしゃいませ!
パパスに連れられ、ラスネルとベリンカ母娘は村を旅立つ。
番兵 : やや! パパスさん、お出掛けですか?
パパス : うん、ちょっとアルカパの町までな。ちなみに、最近、サロンができたという噂は聞かないか?
番兵 : いいえ。ではお気をつけて!

西へ歩くと街が見えてきた。
《アルカパの街・宿屋(ベリンカの家)》
男 : あっ、女将さん、お帰りなさい! 薬は手に入ったんですか?
女将 : ええ、これで良くなると思うわ。
パパス : どれ、私もダンカンを見舞う事にしよう。

ラスネル : 僕はどうしようかな…。
ベリンカ : お散歩に行くの? 私も付き合うわ。
ラスネルとベリンカは手を繋いで出掛けた。

《小さな公園》
ベリンカ : ねえ、背比べしよっ。この木に私達の跡を刻むの。
ラスネル : やだ、ベリンカの方がおっきいもん。
ベリンカ : くすくす。でもね、きっと十年くらいするとラスネルの方がおっきくなると思うの。だから、その時の想い出のために…ねっ。
ラスネル : うん。でも、何かした事が想い出になるのはいいけど、想い出を作るために何かをするなんて打算的だね。
ベリンカ : …。


民家の前で、仔ネコ?をいじめている子供達がいる。都市はベリンカくらいか。
少年A : 変わったネコだろ!? 変な声で鳴くから面白いぜっ。
ネコ : ピギャー!
子供B : ほらもっと鳴け!
ベリンカ : やめなさいよ! 可愛そうでしょう。その仔を渡しなさい!
少年A : おい、このネコを渡せって。どうする?
少年B : そうだなあ。お前がスカートをめくってパンツ見せてくれたら…。
ラスネル : パンツが見たいんだったら、こうしなきゃ駄目だよ。
ラスネルはスカートをめくり上げた。
少年A : おおっ、さくらんぼ!
ゴシャッ!
ラスネル : ゲハッ!
ベリンカのジャンピング肘落としが、エヘエヘ状態のラスネルの頭上に決まっていた。
少年B : ウサギのパンツだったら笑ってやったのにな。
ベリンカ : 私のライバルと違って、そんなのははかないわ。
ラスネル : ライバルって誰?
ベリンカは改めて少年達を見て鬼のような顔をする。手には果物ナイフが握られている。
ラスネル : (怖ひ…。)
少年A : …そうだなあ。いじめるのも飽きてきたし、欲しいなら上げてもいいけどさ。
少年B : そうだ! レヌール城のお化けを退治してきたらなっ!
少年A : そりゃいいや! レヌール城のお化け退治と交換だな!
ベリンカ : いいわよ、私って何でも素質あるんだから。
ラスネル : 僕だったら、エッチな内容の要求を最後まで押し通すんだけどな…。

《ベリンカの家》
パパス : 待たせたなラスネル。ダンカンの病気はどうやらただの風邪らしい。さて、そろそろサンタローズの村に帰るとしよう!
ラスネル : じゃ、お化け退治頑張って。
ベリンカ : あっ、私を置いて行っちゃうのね…。ふーんだ、私って素質あるんだから。
女将 : パパスさん、パパスさん、このまま帰るなんてとんでもない! せめて今日だけでも泊まっていってくださいな。
パパス : それではお言葉に甘えるとするかっ。
女将 : ああよかった。さあ、どうぞこちらへ。

《宿屋の部屋》
女将 : じゃあパパスさん どうぞごゆっくり。
パパス : さてと……。明日は早く出るぞ。村の皆が待っているからな。今日はもう眠るとしよう。お休み、ラスネル。

ラスネルはベリンカが気になり、部屋を訪れた。

《ベリンカの部屋》
ベリンカ : なーに? 今からお風呂に入る所よ。
ラスネル : ベリンカとお風呂に入りたい。
ベリンカ : うん、いいわよ。
ラスネルとベリンカはお風呂に入った。
ベリンカ : きゃっ、そこ触ったり広げちゃ駄目よ。
ラスネル : どうして?
ベリンカ : よく分からないけど、ママが言うには赤ちゃんに関係するんだって。
ラスネル : うん、分かった。


ラスネルはパパスの隣で眠っている。
ラスネル : (ベリンカ…好き…。)
ベリンカ : ラスネル、起きて……。ラスネル……。
ラスネル : はれっ、ベリンカ?
ベリンカ : 起きたわね、ラスネル。じゃあ早く行きましょう……。
ラスネル : どこへ?(夜中にも僕とお風呂に入りたいのかな?)
ベリンカ : どこへって? もちろんレヌール城へよ。お化け退治をして、あの仔ネコを助けなくちゃ。
ラスネル : あれっ、素質あるんじゃなかったの?
ベリンカ : レヌール城はこの町からずっと北にあるそうだわ。
ラスネル : 聞いちゃいないってか。
ベリンカ : ラスネルのパパは、私のパパが風邪を移したから暫く動けないはずだしぃ。
パパス : うーん、うーん…。
ベリンカ : さあ、行きましょう。

ラスネルとベリンカはアルカパを出た。

魔物が現れた。
ベリンカ : メラ!
ラスネル : わぁ、魔法だ。
ベリンカ : ねっ、私って素質あるでしょ、きゃっ!
ラスネル : えいっ。
ラスネルは剣で魔物を倒した。
ベリンカ : うふっ、ありがと。
ラスネル : ご褒美にキスしてよ。
ベリンカ : えー、仕様がないなー。
ちゅっ。
ラスネルはほっぺにキスされた。

《レヌール城》
ベリンカ : 城門は閉まっているから、まずハシゴで頂上に行くわ。
ベリンカは先に上る。ラスネルはスカートの中を覗き込みながらハシゴを登る。
ベリンカ : きゃっ、見ちゃ駄目っ。
ラスネル : でもお風呂では全部見たよ。一生忘れないんだ。
ベリンカ : …あんまり見ちゃ駄目よ。ラスネルだけなんだから。

《レヌール城・頂上》
ベリンカ : ここからロープでお城の中に入れるみたい。

《レヌール城内》
骸骨が寄ってきた。
ベリンカ : きゃーっ!
ベリンカは骸骨に連れ去られた!
ラスネル : どうしよう…ベリンカがいなくなっちゃったよ…。

《墓の前》
さまよう内に墓場を発見した。
地面が蠢く!
ラスネル : なんだろう…。
ラスネルは地面を掘った。
なんとベリンカが飛び出した。
ベリンカ : ああ苦しかった! ラスネルったら、今までなにしてたのよ?
ラスネル : ベリンカは土の中でも息ができるんだね。
ベリンカ : できないから苦しかったんでしょ? でも助けれくれたからまあいいわ。
ラスネル : 髪に土が付いてるよ。
ラスネルはベリンカの髪を掃った。
ベリンカ : 優しいのね。
ラスネル : うん、女の子に優しくすると、赤ちゃん作らせてくれるんだって。
ベリンカ : …さあ行きましょう!

《図書室》
ベリンカ : 本棚があるみたい。
ラスネル : 読める?
ベリンカ : ”私達のお墓を返して……”って書いてあるみたいね。
ラスネル : 急に字が読めるようになったんだね。
ベリンカ : これは難しい字がないから読めただけよ。

《王の寝室》
ボゥッと浮かぶ貴婦人の人影があった。
ベリンカ : きゃっ、あれって幽霊?!
幽霊はどうやら、この城の主の妃のようだ。
ソフィア : お願いです…。私達のお墓を取り返して下さい…。この小さなお城で…子供のいない私達はたった2人きりで…。
ラスネル : 赤ちゃんの作り方知らなかったんだね。僕でも判りかけているのに。
ソフィア : 最初は確かに知りませんでしたが、本に書いてありました。でもエリックが下手糞で、いつも入れる前に…こんな事は子供に話す事ではありませんでしたね。
ラスネル : よく喋る幽霊だね。うーん、でも入れるって何だろう? 僕の中でまた何かが解りかけたよ。
ソフィア : …でも平和に暮らしていたのです。どうかお願いです…。私とエリックを静かに眠らせて下さい…。

《暗闇のゾーン》
ベリンカ : 真っ暗だわ、ラスネル。足元に気をつけてね……。
ベリンカに手を引かれながらラスネルは進む。
ラスネル : プルプル…暗いよお…。
ベリンカ : 大丈夫、私と一緒なんだから…。ぶるぶる。

王族らしい男の亡霊が去っていく。
ベリンカ : 追いかけましょ。

亡霊はどうやら、この城の主のようだ。
エリック : おお! ここまで来る勇気のあった者は、そなた達が初めてじゃ……。
ベリンカ : 勇気も必要だけど、戦闘能力も必要だと思うわ。
エリック : 確かにな。何年か前から、この城にゴースト達が住み着いてしまい……私とソフィアは眠りに就く事もできぬ。どうかお願いじゃ! ゴースト達のボスを追い出してくれぬか?
ラスネル : やだ。
ベリンカ : 追い出してあげる。
エリック : そうか、やってくれるか。では、私についてまいれ。おお、そうじゃ! 台所にたいまつがあった思うが……。そのたいまつを使うと、どんな暗やみでも照らす事ができよう!

エリックについていった。
エリック : この先にボスがいるはずじゃ。頼んだぞ。

《王の間》
ボス : ほほう……。ここまで来るとは大したガキ共だ。褒美にお前達を美味しい料理にしてやろう……。
ラスネル : うわっ。 ベリンカ : きゃっ。
落とし穴により、下の階に落とされた。

下の階では、二人を食べようと骸骨達が襲いかかってくる!

倒した。

ベリンカ : もう一度戻りましょ。

《王の間》
ボス : なんと! 骸骨共はお前達を食べ損ねたようだな……。ではこのオレ様が食ってやろう!
親分ゴーストが現れた。

倒した。
ボス : たっ……助けてくれー! 王と王妃の墓は元通りにするから!
ベリンカ : いいわ。
ボス : へっへっへ。ありがたい。あんた立派な大人になるぜ……。

《墓の前》
エリック : よくぞやってくれた! 心から礼を言うぞ。
ソフィア : 本当にありがとう。あなた達のお蔭でゆっくり眠れそうです。
エリック : さあ逝こうか、お前。
ソフィア : はい、あなた……。
エリックとソフィアは手を繋ぐ。
ソフィア : さようなら。あなた達の事は忘れません……。
亡霊二人は消えた。
ベリンカ : よかったわね。これからは二人幸せに眠り続けるはずよ。
ラスネル : 僕もベリンカと裸で二人で眠り続けたい。
ベリンカ : えっ?
ラスネル : やっぱり、眠り続けるのはやだ。起きたまま裸の方がいい。
ベリンカ : でもゴースト達は、なんでこのお城を……?
キラッ
ベリンカ : あら? なにかしら。綺麗な宝石ね。きっとお礼よ。ねえ、持ってゆきましょう。
ラスネル : ふーん、金の玉だ。
ベリンカ : ダメッ、その言葉。金の珠って言って。
ラスネル : 発音は同じだよ。
ベリンカ : 文字は違うの。素質あると解るの。
ゴールドオーブを手に入れた。

《アルカパの街》
レヌール城のお化けをラスネル達が退治したという噂は、その夜の内に広まった……。
そして夜が明けた……。

《民家の前》
仔ネコをいじめている少年に会う。
ベリンカ : さあ、約束だわよ! その仔ネコを貰っていってもいいわね?
少年A : おいどうする? 仕方ないか……。
少年B : よし、約束したし、お前らも頑張ったからな! このネコは上げるよ!
ベリンカ : よかったわね、ネコさん。もういじめられないわよ。さあ行きましょう。
ネコはベリンカに付いて来る。
ベリンカ : そうだわ! このネコさんに名前をつけてあげなきゃ!
ラスネル : うん。
ベリンカ : ねえ……ボロンゴってどうかしら?
ラスネル : ボロってのがボロっちくてやだ。
ベリンカ : ねえ……チロルってどうかしら?
ラスネル : チョコレートみたいでやだ。
ベリンカ : ねえ……プックルってどうかしら?
ラスネル : うーん、いまいち。
ベリンカ : ねえ……ゲレゲレってどうかしら?
ラスネル : 最悪だそりゃ。ベリンカってセンスないんだね。
ベリンカ : …他に思いつかないわよ。
ラスネル : うーん、仕方ないからプックルで手を打つよ。
ベリンカ : 決まったわ! 今日からあなたはプックルよ! さあ行きましょう。

《小さな公園》
ラスネルとベリンカはプックルと遊ぶ。
ベリンカ : こらっ、ラスネル。プックルを追い回したら恐がっちゃうよ。それからプックル。恐くても私のスカートの中に入っちゃ駄目よ。

《ベリンカの家》
パパス : 心配をかけたなラスネル。父さんの風邪もすっかりよくなったらしい。これから村に戻るが、町の人達に挨拶は済ませたか?
ラスネル : うん。
パパス : では、行くとしよう! ダンカン、世話になったな!
ベリンカ : ラスネル! 暫く会えないかも知れないから、これをあげる……。そうだわ! プックルちゃんに着けてあげるね。
プックルはベリンカのカチューシャを着けてもらった。
ベリンカ : ラスネル。またいつか一緒に冒険しましょうね! 絶対よ。
ラスネル : うん、今度はおっぱいおっきくなっててね。
ベリンカ : …元気でね、ラスネル。
宿屋を後にした。
パパス : ところで、ラスネル……。お化け退治の事、この父も感心したぞ。しかしお前はまだ子供だ。あまり無茶をするでないぞ。
ラスネル : うん、体位を無茶すると、二度と女の子とエッチできなくなっちゃうんだよね。
パパス : うむ……。では、行くとしよう。

《サンタローズ》
番兵 : やや、パパスさん。お帰りなさい!

《パパスの家》
サンチョ : 旦那様! お帰りなさいませ! ダンカンさんの病気のご加減はいかがでしたか?
パパス : 単なる風邪だ。
サンチョ : なんと! ただの風邪? それはようございましたね。ところで留守中、旦那様にこのようなお手紙が……。
パパス : うむ……。
サンチョ : さあさあ、坊っちゃんは長旅でお疲れでしょう。どうぞお休みなさいませ。

ラスネルは村を歩く。
村の者はよそ者が来たと警戒していた。
また、春が来ているはずなのに、なにやら辺りが寒いようだ。

《教会》
シスター : とても素敵な人がこの村に来たの。さっき私は女になっちゃった…神よお許しを…ぽっ。

《教会の前》
見知らぬ青年がいた。
青年 : うん? 坊やは素敵な宝石を持っているな。その宝石をちょっと見せてくれないか?
ラスネル : やだ。
青年 : そんな事言わずに、女の子の体の事を教えてあげるから。君は特にベリンカという赤毛の女の子の事を知りたいんじゃないのかい?
ラスネル : うん、ベリンカの体を知りたい。
青年 : ははは、その子なら任せろ。ただし、もっと胸とか大きくなってからの話だぞ。あの子はいいぞー。
ラスネルは難しいながらも、ある程度の男女の体について教わった。
青年 : まあ、分からない事はこのノートに全て書いてある。徐々に覚えていくんだね。その頃には、ふふふ…。
ゴールドオーブを渡した。男は手に取って見定める。
青年 : 本当に綺麗な宝石だね。はい、ありがとう。坊や、お父さんを大切にしてあげるんだよ。もうあまり時間がないようだし…。
ラスネル : うん。どんなに辛い事があっても僕は負けないよ。さあ、行くよ、プックル。
青年は去った。

《酒場》
イタズラをする妖精・カームがいた。髪の毛は水色で、耳が尖っていた。
妖精 : まあっ! あなたには私が見えるの!?
ラスネル : うん、パンチュ虹色なんだね。カウンターの上に立ってると全部見えちゃうよ。
妖精 : よかった! やっと私に気がついてくれる人を見つけたわ!
ラスネル : パンチュ虹色なんて、何者なの?(さっき会った男の人に教わった、痴女って奴かな?)
妖精 : 私が何者ですかって? 待って、ここじゃ落ち着かないわ。確かこの村には女の人を連れ込んでエッチな事もできる地下室のある家があったわね。その地下室に行ってて! 私もすぐに行くから……。
妖精は消えた。
ラスネル : …僕んちだそれ。

《パパスの家・地下室》
さっきの妖精がいた。
カーム : 来てくれたのね! 私はエルフのカーム。実は私達の国が大変なのっ! それで人間界に助けを求めて来たのだけど、誰も私に気がついてくれなくて……。気がついて欲しくて、色々イタズラもしたわ。
ラスネル : 女の子にイタズラしたの? キミも女の子なのに。
カーム : そんなイタズラじゃなくて…。とにかく、そこへあなたが現れたってわけ。
ラスネル : 僕も姿が見えなかったら、女の子にイタズラしたいよー。あっ、僕も子供だから、お医者さんゴッコか。
カーム : …。
ラスネル : ところで、なんでパンチュ虹色なの?
カーム : 妖精は何も着ないのが普通なんだけど、人間の男に見つかって乱暴されちゃうから、何かを身に着ける事が奨励されているの。
ラスネル : 姿が見えなきゃ、なにもされないような…。
カーム : シ! ちょっと待って。誰か来たみたいだわ……。
パパス : 話し声がしたので誰かいると思ったが、お前独りか……。ここはとても寒い。
ラスネル : うん、この気候じゃ女の子を連れ込んで裸になるのはためらっちゃうね。
パパス : 独り遊びもそこそこにして、風邪をひかぬ内に上がってくるのだぞ。
パパスは去った。
カーム : やっぱり他の人には私は見えないみたいね……。ともかく私達の国に来てくださる? そして詳しい話はポワン様から聞いて!

ラスネルは妖精の国へワープした。

《妖精の国》
カーム : 来てくれたのねっ。さあポワン様に会って!
ラスネル : うん。
カーム : ポワン様。仰せの通り、人間界の戦士を連れてまいりました。
ポワン : まあ、なんて可愛い戦士様です事。
カーム : め、滅相もありません。こう見えましても彼は結構ませてますし……。
ポワン : 言い訳はいいのですよ。カーム、全ては見ておりました。
ラスネル : 僕はカームの全ては見られなかったよ。虹色のパンチュが邪魔してたんだ。
ポワン : ラスネルといいましたね。私達の姿が見えるのは、あなたに不思議な力があるためかも知れません。ラスネル、あなたに頼みがあるのですが、引き受けてもらえますか?
ラスネル : やだ。
カーム : そんな事を言うと、沙希に進めないよっ。
ラスネル : そのダジャレは使い古されてカビが生えた。今は「沙希の抱き枕でお先真っ暗」がトレンディなんだ。
カーム : ご、ごめんなさい…。
ポワン : 実は私達の宝、春風のフルートをある者に奪われてしまったのです。このフルートがなければ、世界に春を告げる事ができません。ラスネル、春風のフルートを取り戻してくれませんか?
ラスネル : やだ。
カーム : 根性で強くなれば、女の子にモテるようになるわよ! ファイト!
ラスネル : やっぱりやるよ。
ポワン : まあ! 引き受けてくださるのですね! カーム、あなたもお伴しなさい。
カーム : はい、ポワン様。
ポワン : ラスネル、あなたが無事にフルートを取り戻せるよう祈っていますわ。

フルートを奪ったザイルは氷の館にいるとの事だった。

《氷の館》
ザイル : なんだお前は!? そうか! ポワンに頼まれてフルートを取り戻しにきたんだなっ! ポワンは爺ちゃんを村から追い出した憎い奴だ! フルートが欲しければ、力尽くで奪ってみろっ!
ザイルとの戦闘が始まった。

ザイル : くそー! お前はなかなか強いな……。え? 爺ちゃんを村から追い出したのは、ポワン様じゃないって? けど雪の女王様が……。
女王 : ククククク……。やはり、子供を誑{たぶら}かせてという私の考えは甘いみたいでしたね。今度は私が相手です。さあ、いらっしゃい。
雪の女王との戦闘が始まった。

倒した。
ザイル : なんだ、雪の女王様って悪い怪物だったんだっ! オレ、騙されてたみたいだなあ。うわーまずい! 爺ちゃんに叱られるぞ! 帰らなくっちゃ!

《妖精の村》
ポワン : まあ! これはまさしく春風のフルート! ラスネルや、よくやってくれました。これでやっと世界に春を告げる事ができますわ。なんてお礼を言っていいのやら……。そうだわ、約束しましょう。あなたが大人になり、もしなにかに困った時、再びこの国を訪ねなさい。きっと力になりましょう。いいですか? よく覚えておくのですよ。
ラスネル : うん、忘れてなかったら覚えているはずだよ。
カーム : 忘れてても、根性で思い出して!
ラスネル : 忘れないよう、ノートにメモしよっと。カームのパンチュ虹色…って書いておこう。
カーム : それはやめてっ。
ポワン : さあ、そろそろお別れの時です。
カーム : ラスネル、あなたの事は忘れないわ。元気でね。

《サンタローズ》
サンチョ : や! 坊っちゃん! 今までどこにっ!? 旦那様にラインハットの城から遣いが来て、出かける事になったんです! 坊っちゃんも連れていくつもりで、随分捜したんですが……。見つからなくて、旦那様はたった今お出かけになりましたっ。すぐに追いかければ、まだ間に合うかも知れません。さあ坊っちゃん!
ラスネル : うーん、間に合うかな?
サンチョ : 旦那様は信心深いですから、教会にお祈りしてから出掛けるはずです。

《教会》
パパス : おお、ラスネルか! 今までどこにいたんだ!? 随分捜したぞ。
ラスネル : 妖精の国にいたんだよ。
パパス : わしが8年前に抱いた白雪美帆みたいな事を言ってるんじゃない。まあいい。父さんは旅立つ前に神にお祈りをしていた所だ。お前も祈っておくといいだろう。父さんは村の入口で待っているからな。
パパスは去った。
ラスネル : 僕はこの宗教に入る気はないよ…。まあ、ベリンカが入るなら考えるけど。

《村の入口》
パパス : おお、来たかラスネル。今度の行き先はラインハットのお城だ。前の船旅と違ってそんなに長い旅にはならないだろう。この旅が終ったら父さんは少し落ち着くつもりだ。お前には色々淋しい思いをさせたが、これからは遊んであげるぞ。さて、行くとするかっ!
番兵 : 行ってらっしゃい、パパスさん!

パパスはプックルを引き連れたラスネルと東へ向かう。

《ラインハットへの関所》
兵士が守っていた。
パパス : 私はサンタローズに住むパパスという者だ。ラインハット国王に呼ばれ、お城に行く途中である。どうか通されたい!
兵士 : おお! あなたがパパス殿ですか!? 連絡は受けています。どうぞお通りください! 念のため、若い娘は遠ざけておきますよ。

老人がたたずんでいた。
パパス : もし……。どうかされたか、ご老人?
老人 : ほっといてくだされ。わしは川の流れを見ながら、この国のゆく末を案じているだけじゃて……。
パパス : ふむ……。あまり風に当たると身体に毒ですぞ。ではごめん!

《ラインハット城》
兵士 : 待てっ! わが城に何用だっ!?
パパス : 私はサンタローズに住むパパスという者だ。国王に呼ばれ来たのだが。
兵士 : おお! あなたがパパス殿ですか!? 国王がお待ち兼ねです。さあこちらへっ!
兵士に連れられ、王の間に来た。

《王の間》
兵士 : 王様! パパス殿をお連れしました!
王 : ふむ、ご苦労であった。その方は下がってよいぞ。
兵士 : はっ!
王 : さて、パパスとやら。そなたの勇猛さはこのわしも聞き及んでいるぞ! その腕を見込んで、ちと頼みがあるのだが……。コホン……。パパスもう少し側に! 皆の者は下がってよいぞ!
パパス : ラスネル、そんな所に立っていても退屈だろう。いい機会だから城の中を見せてもらいなさい。一通り見る内には、父さん達の話も終わるはずだ。

《ヘンリーの部屋》
第一王子のヘンリーがいた。
ヘンリー : 見かけない顔だな。子分にして欲しいのか?
ラスネル : やだ。

《現王妃と第二王子の部屋》
現王妃が第二王子デールを次の王にしようと画策していた。

ラスネルは城を一通り周り、王の間に戻る。
《王の間》
既にパパスとの話は終わったのか、パパスの姿はない。
王 : そなたはパパスの息子であろう。なかなかよい目をしておるな。パパスには我が長男・ヘンリーのおもりをしてもらう事にした。そなたもヘンリーの友達になってやってくれい。頼むぞよ。

《城の廊下》
パパス : おお、ラスネルか! 父さんはヘンリー王子のおもりを頼まれたのだ。本当は王子の側にいたいのだが、参った事に嫌われたらしい。だがお前なら子供同士友達になれるかも知れん。父さんはここで王子が出歩かないよう見張ってるから頑張ってみれくれぬか?
ラスネル : うん。
パパス : 頼んだぞ!

《ヘンリーの部屋》
ヘンリー : なんだまたお前か? やっぱり子分になりたくて戻ってきたのか?
ラスネル : うん。
ヘンリー : そんなに言うならオレの子分にしてやろう。隣の部屋の宝箱に子分の印{しるし}があるから、それを取って来い! そうしたらお前を子分と認めるぞっ。
宝箱には何もなかった。
ラスネル : きっと空気が子分の印なんだ。
ラスネルは宝箱の空気を吸い込んだ。
ラスネル : ゲホゲホ、塵を吸い込んじゃった。
ヘンリーの部屋に戻った。
ラスネル : あれー? ヘンリーがいなくなった。ヘンリーのアホー!
しーん
ラスネル : ホントにいなくなっちゃった。廊下はパパが見張ってたし…きっとこの部屋に仕掛けがあるんだ。

ヘンリーのいた場所に隠し階段を発見した。ラスネルは下に降りる。
ヘンリー : なんだ、もう階段を見つけてしまったのか……。ふん! つまらない奴だな。しかし子分の印は見つからなかっただろう。子分にはしてやれないな。
ラスネル : えっ? 空気じゃないの? 吸い込んで損しちゃったよ。
ヘンリー : ん?
ならず者が数人現れた。
ならず者 : ヘンリー王子だな!?
ヘンリー : なんだお前らは!?
ならず者 : 悪いが一緒に来てもらうぜ!
ならず者はヘンリーの腹を殴った。
ヘンリー : うぐっ!
ならず者 : おい! 早く王子を舟へ!
ならず者 : へいっ!

ヘンリーは連れ去られてしまった。
パパスの所に戻る。
パパス : なに…っ!! 王子が攫われただと!?
ラスネル : うん。
パパス : なっ、なんとした事だ! いいかラスネル。この事は誰にも言うな。騒ぎが大きくなるだけだからな……。とにかく王子を助け出さないとっ! ついて来いラスネル!

パパスはどんどん先に進む。
ラスネル : わっ、パパ、早過ぎる、待ってー。
パパスを見失ったラスネルだが、プックルを引き連れ、ならず者が巣食うと言われる遺跡を訪れた。

《古代遺跡》
パパスは魔物を倒していた。
パパス : おお!ラスネルか! はぐれてしまったと思ったが、こんな所まで一人で来るとは……。お前も随分成長したものだな。父さんは嬉しいぞ!
ラスネル : うん、プックルもいるし、ここの魔物くらいへっちゃらだよ。
パパス : さて、ともかく王子を助け出さねば! お前が先へ行け。後ろの守りは父さんが引き受けたぞ!

《牢屋》
ヘンリーを発見した。
パパス : へ、ヘンリー王子! く! 鍵がかかっている!
パパスは力尽くで開けようとする。
パパス : ぬっ! ぬおおおおおおーーーっっ!!
バキン!
パパス : ヘンリー王子!
ヘンリー : ふん! 随分助けに来るのが遅かったじゃないか。まあいいや。どうせオレはお城に戻るつもりはないからな。王位は弟が継ぐ。オレはいない方がいいんだ。
パパス : 王子!
ピシッ!
ヘンリー : なっ、殴ったなオレをっ!!
パパス : 王子! あなたは父上のお気持ちを考えた事があるのか!? 父上は父上は……。
ヘンリー : ……………。
パパス : さあ、ともかく追手の来ない内にここを!

ヘンリーを救出したパパスはヘンリーを連れる。
魔物が出現した。
パパス : く! 早速現れたかっ!? ラスネル! ここは父さんが引き受けた! お前は王子を連れて早く外へ!

《遺跡の出口》
魔導師の格好をした恐ろしい魔族ゲマが現れた。
ゲマ : ほっほっほっ、ここから逃げ出そうとは、いけない子供達ですね。この私がお仕置きをしてあげましょう。さあ、いらっしゃい!
ゲマの圧倒的な強さに、ラスネルもプックルも瀕死の状態となった。
パパスが駆け付けた。
パパス : こっ、これは一体! ラスネル! ヘンリー王子!
ゲマ : ほっほっほっほっ。あなたですね。私の可愛い部下達をやっつけてくれたのは……。
パパス : ふん、ブサイクだったがな。
ゲマ : 出でよ、ジャミ! ゴンズ!
邪悪な馬の魔物ジャミと、巨体に剣鎧盾を装備した魔物ゴンズが現れた。
ゲマ : さあ、その生意気な男をやっつけておしまいなさい。
ハパスはジャミ、ゴンズと戦う。
パパスはどうやら優勢だ。
ゲマ : ほっほっほっほっ。見事な戦い振りですね。でもこうすると、どうでしょう……。
ゲマはラスネルの喉に鎌を宛がった!
パパス : ラスネル!
ゲマ : この子供の命が惜しくなければ、存分に戦いなさい。でもこの子供の魂は、永遠に地獄をさまよう事になるでしょう。ほっほっほっほっ。
パパスはジャミ、ゴンズの攻撃をひたすら耐えるが、ついに倒されてしまった。
ゲマ : ほっほっほっほっ。随分楽しませてくれました。
パパス : ううう……。
ゲマ : おや、まだ息があるみたいですね。
パパス : ラスネル!ラスネル! 気がついているかっ!? はあはあ……。実はお前の母さんはまだ生きているはず……。わしに代わって母さんを…。
ゲマは激しい炎の魔法を使った。
パパス : ぬわわーっっ!!
パパスの体は燃えて、死んでしまった!
ゲマ : ほっほっほっほっ。子を想う親の気持ちはいつ見てもいい物ですね。しかし心配は要りません。お前の息子は我が教祖様の奴隷として一生幸せに暮らす事でしょう。ほっほっほっほっ。
ラスネルは全く動けない。
ゲマ : ジャミ! ゴンズ! この子供達を運び出しなさい。
ジャミ : ゲマ様、このキラーパンサーの子は?
ゲマ : 捨てておきなさい。野に帰ればやがてその魔性を取り戻すはず。うん? 待ちなさい。この子供は不思議な宝石を持っていますね。
ゲマはゴールドオーブを取り上げた。
ゲマ : この宝石はもしや…? どちらにしろ、こうしておくとしましょう。
パキーン!
ゴールドオーブが壊された!
ゲマ : ほっほっほっほっ。さあ、行きましょう。

かくして父を失ったラスネルは、ヘンリー王子と共に、いずことも判らぬ所に運ばれた。
母は生きている! その父の言葉も虚しく、ラスネルを待ち受けていたのは過酷な奴隷の日々であった。
そして10年余りの月日が流れた…。


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